谷や 和(うどん懐石・日本料理) 屋根の上のヴァイオリン弾きSpecial 内藤大希

明治座から
徒歩8分

今回は、清州橋通り沿いにある大きな複合ビル・トルナーレ日本橋のすぐ横、小さな道沿いに静かに佇む一軒家の割烹《谷や 和(たにや かず)》を内藤大希さんと訪れました。

同じ人形町に店を構え、ミシュランガイドでビブグルマンを獲得している讃岐うどんの名店《谷や》の店主・谷和幸さんと、ミシュランで10年連続三ツ星した《赤坂 菊の井》出身の料理人・坪沼洋介さんが手を組み、2016年にオープンした《谷や 和》。 品のある落ち着いた店内で、日本の四季を感じられる「うどん+会席料理」のコース料理をいただけるお店です。
メイン料理はもちろん、デザートにポン酢や出汁醤油、季節のドレッシングまで、すべて手作りにこだわっているそう。

内藤さんが召し上がったのは〈ランチメニュー〉2,200円(税込)。
内容は

  • -季節の果物を使った自家製ドレッシングサラダ
  • -旬魚3種刺身
  • -鯖寿司
  • -季節のうどんチョイス
  • -自家製デザート

です。

メインとなるうどんは温かいもの2種、冷たいもの1種の計3種の中から選べます。
この日は冷たいうどんが〈しょうゆベースの冷たい出汁+釜揚げのしらすと大根おろしと九条ネギ〉で、温かいうどんが〈しょうゆベースの出汁に梅出汁+白魚の天ぷらと大根おろしと九条ネギ〉と〈明太かま玉バター〉。
内藤さん、〈明太かま玉バター〉に即決。「ぜったい美味い、最高」とかなり期待大の様子です。

一皿目はサラダ。赤いドレッシングが鮮やかですが、これは毎月変わる、季節の食材で作る自家製ドレッシング。
取材に行った1月は〈いちごのドレッシング〉でした。
「めちゃくちゃおいしい……。何これ……。見た目と味が違う。つぶ感はあるけど、いちごと言われないとわからないかも。……あ、でも食べ終わったあとの口の中は、いちごです」(内藤)
たしかに、食べている最中よりも後味の方がいちごを感じます。一皿目から意外性!

二皿目は〈旬魚3種刺身〉。この日は真鯛、金目鯛、アオリイカ。
金目鯛とアオリイカは炙ってあり、丁寧なお仕事が見てとれます。
しかもお醤油は、自家製のだし醤油に、自家製の海苔の佃煮を併せたもの。
「佃煮醤油でお刺身、食べたことないです。これ(醤油)だけでご飯食べたいくらいですね。……うわ、お刺身と合いますね。金目鯛の炙り、おいしいな~!」(内藤)
佃煮醤油、主張が強そうに思えますが、刺身につけると意外と海苔の主張が薄まり、内藤さんの言うようにお刺身に合う!

ところで、実は料理好きだという内藤さん。
「最近、ガスバーナーを買いました! バーナー、良いですよ。どんな食材も炙るとテンションが上がる。香ばしさがすごい。これを買ってからさらに料理が楽しくなりました。ただ、炙りすぎるとダメにしてしまうので、加減が難しい。欲張らないように注意しないと(笑)」(内藤)
バーナーが自宅にあるって、かなり料理通です。

三皿目は〈炙り鯖寿司〉。
肉厚で、あぶらの乗っている鯖です。〆てありますがそこまで酢は強くなく、これまた美味。
「鯖、大好き! 綺麗! ……めっちゃおいしいです。海苔で巻くのも珍しくないですか? これ、お店だからできることですよね。テイクアウトだと海苔がしっけちゃいますもんね。……おいしいなあ。あと8個くらい食べられる……」(内藤)

四皿目がメイン、季節のうどんです。
〈明太かま玉バター〉を食べた内藤さん、「間違いない! という味です。おいしいです! 量も少し小盛りで(コースで食べるのに)ちょうどいい。明太子も辛みを感じるほどではなく、優しい味です。うどんものどごしがいい」。

ちなみにスタッフがいただいたのは〈梅出汁に白魚の天ぷらと大根おろし〉。
こちらは関西風のだしに、梅の酸味がきいていて非常にさっぱりした味わい。白魚の天ぷらも繊細で、高級感ただよいます。

さて、『屋根の上のヴァイオリン弾き』で内藤さんは、テヴィエ一家の家庭教師として迎えられる学生・パーチックを演じます。
今回が初出演ですが「(いち観客として)外から観た時は“昔の物語”だと思いましたが、今は現代にも通じる、感情移入できる話だなと感じています。子どもには、親の思いとは反し好きな人がいて、そんな子を親は心配し……という家族のドラマは、現代の僕たちにも当てはまりますから」と作品の印象を話し、
「稽古を通し、どんどん好きなところが増えていきます。たとえば1曲目の『伝統の歌』は、僕は(パーチックではなく)ロシア正教徒として通過するだけではありますが、実際に自分が体感すると、この世界の枠組みを表現していることに加え、振付の面白さ、ユーモアにワクワクします。また荒井洸子さんをはじめとする大先輩方がとってもキュート。若い役者が年配の役をやるというのも演劇の面白さではありますが、実際にその年齢の方が年配の役を演じると、やっぱり深いですよね。台詞一つとっても、人生を経験してきた実感が伴う。すごく素敵な作品に参加させていただいています。本当に楽しい」と、充実した稽古を送っている心境を話してくださいました。

取材時点ではまだ主演の市村正親さんは稽古に合流する前でしたが「ご一緒することが初めてで、とても楽しみにしています。レジェンド・オブ・レジェンドじゃないですか! お芝居はもちろん、稽古場の過ごし方、本番のルーティンも興味ある。市村さんを近くで拝見できるというのは僕にとっても貴重な経験になると思います」と目を輝かせます。
パーチック役に関しては「村の皆さんには変なヤツだと思われていますが、都会から来ているので、考え方は現代に近い。僕は1幕でホーデルとダンスを踊るシーンが好きなんです。村のしきたりを大事にするホーデルと、学があり未来を見ているパーチック。でもその二人が会話をし、心が通じ合うのがいいですよね」と

食後には自家製デザートもつきます。
この日は〈ドライみかんとクリームチーズを使った自家製アイス、黒蜜がけ〉。
「うわー、めっちゃクリームチーズだし、オレンジじゃなくてみかん。黒蜜もきいている。全部の味がしますが、ちゃんと調和していておいしいです。おしゃれだなぁ……」(内藤)。

ちなみに明治座にはよく出演されている内藤さん。近隣のおすすめのお店をお伺いしたら「先日、小網神社に参拝しようと来た際に、調べて行ったうどんのお店がとても気に入りました。店主が自ら『うどんバカです』と名乗ってる動画がインスタに流れてきて、このノリ大丈夫かなぁ(笑)と思いながら行ったのですが、めっちゃ好き系だったんです! 並んでいるとその方がうどんを打っている姿が見えるのですが、ルーティンが職人。次第にイチローに見えてきて、この人、好き! って思いました(笑)。盛り付けも綺麗で、美味しくて、店内も明るくて……」。
……内藤さん、そのお店、《谷や》です。このお店の店主・谷さんがやっているお店……。
「……。たしかにお店の名前《谷や》でした。え、僕、このお店初めて来て感動しているのですが、実は知っていましたね……?」(内藤)

まさかの「近隣でイチオシのお店(の別形態の店舗)に取材に来ていた」ことが最後の最後で判明する、という綺麗なオチまで作ってくださった内藤さんでした! いや、系列店ではありますが別のお店なので、気付かなくても無理はありません。
なお、《谷や 和》のうどんは《谷や》と同じうどんではありますが、会席という形態に併せ、《谷や》より細く切っているそうです。同じうどんでもまた味わいが異なります。

「でも本当にいいお店を知れました。しかも想像以上にお安い。今どき、ラーメンでもあれこれトッピングしたらこれくらいかかっちゃう。店内の天井が高いのも気持ちがいいですね。ここ、また来たいです!」(内藤)

【メニューや価格、サービスなどは、2025年1月時点のものです】

(取材・文・撮影:平野祥恵)

取材協力:一般社団法人日本橋浜町エリアマネジメント https://hamacho.jp/

写真:店舗入口
谷や 和
営業時間11:30~14:00、17:30~23:00
定休日日曜、祝日、第1・3水曜日
住所東京都中央区日本橋浜町3ー2ー7
Google Maphttps://maps.app.goo.gl/97MJaaNhrUuFzu5g9
公式サイトhttps://www.taniyakazu.com/