ついにあの牢獄の扉が開きます。
本作は、お客様だけでなくVOICARIONチーム内でも非常に人気の高い作品で、毎度再演候補にあがっておりましたが、このレジェンドキャストたちのスケジュールを押さえるハードルの高さからなかなか実現せずに四年の月日が経ってしまいました。ですから、この『Mr.Prisoner』はファンの皆様だけでなく、我々関係者一同にとっても待望の再々演となります。
VOICARION立ち上げの際に『女王がいた客室』と同時に書き上げた記念作品の本作。今思えば、かなり無謀なスケジュールでしたが、両作ともスラスラと筆が進み一ヶ月ほどで二作を書き上げたのを思い出します。作曲家の小杉紗代さんとの出会いもこの時です。彼女の気高い音楽のおかげで、僕の新しい表現が引き出された気がしました。クリエイターとして、この作品は転換期となったと言えるでしょう。
よく「勉強は苦手だった」「勉強は嫌い」という言葉を聞きます。そのたびに、物語の中で囚人が言う言葉が脳裏をよぎります。
学問とは、人生を豊かにするもの全てを言う。
光を通さない真っ暗な牢獄の中なのに、この世界のどこよりキラキラと輝いた教室こそが、私達が近代的学問の中で忘れてしまった、本来の勉強の楽しさを象徴するものなのではないかと思います。
皆様が劇場に収監される日を、心よりお待ち申し上げております。