ブリア・サヴァランは言いました。
「禽獣はくらい、人間は食べる。 教養ある人にして初めて食べ方を知る」
僕が幼少期を過ごしたフランスは、ご承知の通り食の都ですが
言葉にさえ、英語にない「食の表現」があります。
例えば「人参は茹で上がった」は絶体絶命のこと
どうやら戦場で人参しか食べるものがなくなってしまったことが語源のようです。
あとは「ほうれん草にバターを入れろ」は、「経済的に余裕を持たせること」を言います。
そしてフランス語で友達を表すCopainは「co=分け与える」「pain=パン」
パンを分け合えるほどの仲というのが語源です。
フランスがこのような食文化中心の国になったのは、フランス革命直後
数多くの宮廷料理人が街に放たれ、レストランを開いたことが発端です。
この時、貧困によりわずか10歳でパリに捨てられ、
後に「料理界の帝王」となる少年がいました。
アントナン・カレーム
彼は後に「料理でフランスを守った料理人」と言われるようになります。
ナポレオンが失脚し、絶体絶命のピンチを迎えたフランス
ウィーン会議で「まな板の上の鯉」にされてしまいます。
しかし、ここでアントナン・カレームは呼び出されたのです。
オーダーは、会議に参加する諸外国の要人を料理で魅了すること
料理でフランスを守ること
今、世界一美味しい戦争が幕を開けるのです。
VOICARIONが新たにお届けする物語
どうぞご声と音楽のディナーをお楽しみください。
原作・脚本・演出藤沢文翁