かつて指導者であった母から厳しい指導を受け、正確無比な演奏で数々のピアノコンクールで優勝した神童・有馬公生は、母の死をきっかけにピアノの音が聴こえなくなり、コンクールはおろかピアノに向き合うことからも遠ざかってしまう。母の死から数年後の4月。高校生になった公生は幼なじみの澤部椿を通じ、同い年のヴァイオリニスト・宮園かをりと出会う。ヴァイオリンコンクールでかをりの圧倒的かつ自由な演奏を聴き、公生の世界は、再びカラフルに色付き始める。
かをりは、好意を寄せる渡亮太との仲を椿に取り持ってもらい、渡と椿の幼なじみである公生とも行動を共にするようになる。やがて公生はかをりに好意を抱くようになるが、親友である渡に気を遣ってしまい想いを伝えることができない。そして椿はそんな公生のかをりへの恋心に気付き、また自身に芽生えた公生への恋心に思い悩む。
公生のことを“友人A”と呼びぞんざいに扱いつつも、自分のコンクールのピアノ伴奏を命じるなど、何かにつけて公生を音楽の世界に連れ戻そうとするかをりと、どんどんかをりに惹かれていく公生。しかし、公生が再び音楽の道に戻ろうとした矢先、かをりに大きな秘密があることを知る……。